
抜けをつくれば空間は広くなる
狭い部屋でも、天井の低い部屋でも広く感じさせるには、さまざまな工夫があります。
まずは、空間に"抜け"をつくることです。
では“抜け”とはどういうコトか。
人は、視覚によって様々な影響を受けるようです。
・ビルとビルに挟まれた間から、遠い向こうがみえるとき
・周りに何もなく道路がずっとつづいてみえるとき
こういうときに“抜け”を感じるようです。

この感覚を、家にもしっかりつくることです。
- 他の部屋とのつながり
- 壁の角の開き方
- 開口部(窓)の高さや位置
- 部屋からみた庇の見え方、など。
視線がすーっと流れていって、外の景色や空まで続いているような感覚。
その感覚が空間に広がりを与えるのです。
第二に、建具の高さと、その先に見える部屋のあり方です。
面白いもので、工事中に家の建具(ドアや引戸)が取り付けられると、狭くなったような感じになります。
建具屋さんはいつも、
「建具を入れると狭くなったって言われるんだよなぁ~」
と嘆いています。
建具が入ったことにより、それぞれの部屋が区切られるので、当然といえば当然です。
しかし、建具の高さを高くすると、部屋の区切られ方は違って、広く感じます。
建具を天井まで高くして、部屋の垂れ壁(天井から下がっている壁)をなくすことにより、視線の抜けはさらに増します。
そして、向こうの部屋の奥までみえることにより、視線が抜けるのです。


第三としては、天井を低くしたことにより建物の重心は下がりますので、その他のモノの重心も下げるのです。
- 照明の位置
- スイッチ・コンセントの高さ
- 飾り棚の高さ
- キッチンカウンターの高さ。などなど。
照明でいえば、器具だけでなく灯りの重心も考えます。
全体のプロポーションをイメージして、全体的に重心をさげるのです。
第四としては、天井をすっきりさせることです。
天井が低いのに、照明がたくさんついていたのでは、目障りです。
照明に邪魔をされて、視線が天井を滑るように抜けないのです。
ほとんどの家では、天井に照明器具があり、それがふつうに慣れているでしょうが、天井に何もついていない空間を体感すると、ある、なしの違いがよくわかります。
天井は、すっきりさせることをお勧めします。